2004年10月28日木曜日

強く生き抜いて

新潟県中部で大きな地震があった。当初は「新幹線脱線、ケガ人、死者無し」で「ああ、良かった」と軽く受け止めていた。
ところが、日が経つにつれ被害の全貌が明らかになると、その規模の大きさにただただ胸を痛めている。罹災された方のご心痛いかばかりかとお察しする。

昨日、県道の土砂崩れに巻き込まれた乗用車から、2歳の男の子が奇跡的に救出された。丸4日間、たった一人で土砂と車の間に出来たわずかな空間で 生き延びたのだ。まだ2歳である。
私にももうすぐ2歳になる息子が居る。テレビに映し出された男の子は、今自分が抱いている息子と大して変わらない。ちょっと月例が大きいだけだ。こんな 幼気な子がこれだけ過酷な状況の中で生きていたという事は、まさに奇跡なのだろう。そして、同乗して一緒に災害に巻き込まれたお母さんとお姉ちゃんは、 残念ながら亡くなった。この二人の事を思うとさぞや無念だったろうと胸が潰れそうになる。
この男の子が大きな怪我も無く、丸4日間生き抜けたのは数々の偶然が重なって幸いしたそうだ。

  • 土砂が土室のような働きをして必要以上に周囲の気温が下がらなかった
  • 狭い空間であるが故に、身動きが出来ず体力を消耗する事が無かった
  • 脱水症状を招くような気温では無かった
  • 空気の流れがあり、水分も補給出来た

一部の報道では、面会に来たお父さんに「ポットの中のミルクを飲んだ」と話していると報じていた。私はこの言葉を聞いて泣かずにはいられない。
彼は持てる知識を全て使って生き抜いたのだ。たった2歳なのに、この強さはどこから来るのだろう。そう思うとこの事実に圧倒される。
母子共にみんな助かって欲しかった。たった3年しか生きられなかったお姉ちゃんの事を思うと悲しいし、残されたお父さんの心痛を思うと本当にたならなくなる。でも、生き抜いてくれた2歳の男の子はそんな悲惨な状況の中に、僅かに灯ったみんなの希望の光だ。

東京消防庁のハイパーレスキュー隊員の隊長の表情が私は忘れられない。災害現場でいくつもの、悲惨で悲しい状況に出会うと、レスキュー隊員の心的ストレスは相当なものであると聞く。「何としてでも助けると思いました」
この2歳の男の子はレスキュー隊の心も救ってくれたに違いない。今も不眠不休で車内に残された女の子の救出が続いている。本当に頭が下がる思いだ。

私には何も出来ないが、この母子のご冥福を祈ると共に、男の子には強く生き抜いて欲しいと願うばかりだ。

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