2003年11月23日日曜日

カーテンの話し

カーテンについては、今までいろいろ失敗をしている。その経験があるが故に勢い力が入ってしまう。どんな経験をしているのか、私なりの「ベからず集」を整理してみると。。。

  • 素人、掃き出し窓用カーテンを手製するべからず。
  • 素人、ロールカーテンを手製するべからず。
  • ドレープカーテンあなどるべからず。

若気のいたりで、かつて、ロールカーテンやドレープカーテンを手製した事がある。裁縫は好きな方で、縫い物をいとわないたちなのだが、両方共頑張った割には出来が悪くがっかりしてしまったのだ。ロールカーテンはとても気に入った生地をみつけ、独身時代に自分の部屋を模様替えしてみたくて、作った事がある。手製キットなる物を買って来て、早速作ってみたのだが、巻き上げる軸に布を真っ直ぐに取り付けるのは容易では無く、転がったトイレットペーパーを綺麗に巻き戻せないのと、同じ状態になってしまう。おまけに、縁の部分に生地の端を使う事が出来ず、(幅が合わなかった!)折り返した布の厚みで、ごろごろと不格好な形に巻き上がってしまう。軸を家の壁に取り付けるのも、一人では難しく、なんとか木ねじで止めたものの、しばらく、上げ下げしているうちに、力がかかって抜けて落ちて来てしまった。全くもって最悪である。あのロールカーテンはどうなったのだろうか。。恐らく実家で粗大ゴミとして捨ててしまっただろう。
そして、懲りずに、新婚の時には少しでも節約しようと、新居だった貸家のカーテンを全て手製にしたのだ。カーテンは家の事情に左右されてしまうから、家具のように、持って歩いても次の住まいで使えない事が多い。借家暮らしにお金をかけて新調するのはもったいないと当時は思ったのだ。さすがに、ロールカーテンでは懲りているので、一般的なドレープにしたのだが、これも、大間違いだった。
夫がフランスを旅行した時に、気に入って買って来たという綺麗なプリントの生地を沢山持っていた。どうせなら、それをカーテンにしてしまおうと目論んだのだが。。掃き出し窓は長さがある故に、きちんと測ったつもりでも、微妙に出来上がると誤差が生じる。わずか、1cmでも長く仕上がってしまった日には。。。。裾がぴしっと垂れ下がらないカーテンほど、見た目がだらしない物は無い。貸衣装で裾が切れないウエディングドレスと同じだ。調整しては、フックをつけて引っ掛けてみて、まだ長ければまた外して調整して。。。

こんなに手間がかかるならオーダーすればよかったと心から後悔した。素人が作れるのは、せいぜい、カフェカーテンか、腰高窓のカーテンぐらいだ。

そんな反省から、今のマンションでは、全てオーダーメイドで作ってもらった。全て掃き出し窓で、最初から作る気は失せていたのだが、それなりにお金をかけてちゃんとしたいとも思っていた。その甲斐あって、仕上がりは上出来だった。さすが、プロはピシッと綺麗に仕上げる。共布のタッセルまで作ってもらったが、、、何か、狙っていた仕上がりと違う。。今回は布地にもこだわって、ウイリアムモリス柄等を奮発したのに。

この違和感は何なのか、しばらく、気がつかなかった。今思えばとても迂闊なのだが今回、新しい家のカーテンを考えるにあたってやっと気がついた。
カーテンのスタイルによって、生地の柄も考えてやらなければいけなかったのだ。一般的なドレープカーテンは、プリーツがよってしまうので、当然、生地を平らにした状態では見られない。ところが、生地を選ぶときは、広げて「ふんふん」と選んでしまう。広げた時の柄の美しさで選んだつもりでも、実際にそんな風に見る事は無い訳で、プリーツになった時を想像すべきだった。これは私の私見だが、プリーツは柄の美しさを半減させてしまう気がする。ならば、いっそ、チェックやストライプを選んだ方が、がっかりしなくて済むのかもしれない。柄の美しさを見せたいならば、ロールカーテンや、最近よく見かける「ローマンシェード」のように、閉じた時に布地が平らに広がるスタイルを選ぶ方が効果的なのだろう。折角、お金を掛けたので、今のマンションのカーテンをリフォームして新居に使いたいと思っていた。でも、ワコールのコーディネータは難色を示した。出来なくは無いが、ほどいたり、縫い直したりする工賃が発生する事を考えるとそれほど、予算削減にはつながらないと言うのだ。無理を言えばやってくれそうな雰囲気ではあったが、夫が珍しくこんな提案をした。「折角、今の家にぴったり合わせて作っているんだから、これは置いていったらどうか。賃貸で貸す時にカーテン付きで貸して、その代わり月の家賃にいくらか上乗せしよう。」え〜!びっくりだが、ユニークなアイデアだった。確かに、賃貸の家にいちいちカーテンを新調するのは、入居者にとっては負担だろう。自分も節約したくて、手製をしたくらいだから、カーテン付きなら願ったりと思うかも知れない。ただ、その分若干家賃が高くなったら受け入れられるだろうか??とりあえず、置いて行くという仮定で、やっぱり全てのカーテンを選ぶ事にした。

そして、貸してもらった見本帳をざっと繰ってみたのだが。。。。壁紙より輪を掛けて気に入った物が全く無かった。今回はラルフローレンも「イマイチ」で壁紙の時ほどの「おお〜!」と思う物が少ない。壁紙や照明はあまり装飾的にしなった分、カーテンには、はっきりと主張するような個性が欲しいと思っていた。だから「まあ、いいか」と安易に妥協も出来ない。「気に入ったのが、無かった」と打ち合わせの際に正直に伝え、ならば布地はともかく、先に各窓のスタイルを決めましょうという事になった。全体的に、腰高窓が多いので、ローマンシェードスタイルを基本にした。前回の反省からドレープスタイルに慎重になっていたのと、この方が、カーテンの柄を楽しめると思ったのだ。ローマンシェードと言っても、カーテンの上がり方がシンプルに折れ上がって行く形とバルーンと言って、一部だけがつり上がって、曲線を描く形がある。私たちはシンプルなタイプを選んだ。バルーンはあまりにゴージャスな雰囲気になりすぎると思ったからだ。

スタイルが明確になったので、問題の生地選びになった。この打ち合わせに入る前に、あらかじめ、各部屋をどんな風に見せたいのかイメージを言葉にして、メモしておいた。例えば、一番の見せ場と思う所はどこなのか、そこには多少お金がかかっても、納得のゆく品にしたいとか、ここは、後回しでもいい等々。やっぱり、リビングは一つの顔だし、階段を昇ったところのファミリールームは2階の見せ場にしたい。ポイントはその2カ所にしぼられた。あまりに、私が気に入っていない様子なので、とっておきのサンプルをコーディネータが出して来てくれた。北欧製生地で色使いと柄が大胆で面白い。サンプル帳という体裁を取っていないので、貸し出すわけにゆかなかったそうだ。大きめの生地を広げて1階は草木がモチーフの明るい柄に、2階は暖かい色使いで植物が、ぽってりと描かれている「こっくり」した雰囲気の柄にした。リビングとダイニングは一続きの空間なのだが、私はここでは色味を似せて柄を違えたいと主張した。コーデッィネータは最初「同じ部屋なので、柄が違ってしまうと。。」とやや反対意見だったが、ずっと、同じ柄が続いてしまうのも、芸が無いし単調になりはしないか。空間としては同じでも、持たせる機能が違うのだがら、柄を変えて色味を似せれば一体感は損なわれない、というのが私の意見だ。結局、私の主張が通って、リビングは草木、ダイニングは抽象的な模様のカーテンに落ち着いた。子供部屋や書斎は、ラルフローレンのチェックや柄物で無難にまとめ、和室は国産品で比較的良さそうな所にした。最後まで決まらなかったのが、寝室である。ここは、唯一壁紙に蔓草という柄が入った壁紙を選んでいるので、カーテンにも柄を選ぶと組み合わせによっては、かなりくどい感じになってしまう。ストックされているサンプルではどうしても、マッチしそうな物が無かったので、改めて輸入物のサンプルを取り寄せてくれるという事になった。本当は、どこかの部屋にローラアシュレイのカーテンを使いたかった。子供部屋とか寝室とか。。。ところが残念な事に、ローラアシュレイは数年前から代理販売を止めてしまい直販しかしていないらしい。ワコールのコーディネータも残念そうに。「私も、古いサンプル帳を捨てられないでとっておいているんです」と言っていた。どうしても希望するなら、直接ショップへ行って発注すればいいのだが、都心まで出ないと近隣にはショップすら無い。という訳で、今回は時間的な問題からローラアシュレイは諦めた。選んだ生地もそれなりに気に入っているので、数年(数十年先?)先に模様替えするチャンスがあれば、その時に考えようと思っている。本当は、春夏と秋冬くらいのタイミングで、カーテンも架け替えられれば、、という理想もあるのだが、現実はなかなか、そこまで余裕が無いのが実情だ。さて、最後まで決まらなかった、寝室のカーテンであるが、新しいサンプル帳が届いて見せてもらった時に、「この色の組み合わせ綺麗だなぁ」と思うストライブ生地があった。「それ、きっと気に入られると思ったんですよ。」この時くらいになると、コーディネータも私の好みを飲み込んでくれるようになっていて、彼女も先にサンプルを見た時に真っ先に気に入るだろうと思ってくれたらしい。他の物も一応見たのだが、やっぱり最初にいいと思った生地に戻って行く。他カーテンに柄物を選んだので、ここは壁紙とのバランスで、ストライプがいいだろうという事で、これに決めた。最後に、レースのカーテンをどうするかという事が問題になったが、全ての部屋には付けない事にした。着替えをする部屋には、紗の織り地であっさりした物を付ける事にしたが、それ意外は目隠し程度のカフェカーテンを付けてコストを少し押さえた。カフェカーテンもコーディネータが「お勧め」という紗の生地にして、他の物と整合性を取ってみた。小さな刺繍が入っていて、市販ではなかなか見かけない洒落た物である。彼女も「レース地よりこの方が可愛いと思うんですよ。」と話していて、顧客によく奨めるそうだ。

あ〜やれやれ、この打ち合わせが終わって、一通り設計打ち合わせは終わってしまった。この後、地盤改良工事が始まり、今現在基礎工事の終盤に入っている。来週末には、基礎が完成するので、そのチェックに現場へ向かおうと思っている。上棟時までは、まだ変更可能な事もあるのだが、今のところ、後悔している部分は無い。強いて言うなら、予算の問題だけだろうか。。。次回はいよいよ、着工の様子と、外構工事の詰めという所を書ければと思う。

【後日後記】
上記は設計当時の記述。その後、実際に決めたカーテンの柄は以下の写真の通り。
高いと思った北欧生地のカーテンは今でもお気に入り。でも、散々苦労した寝室のストライプは仕上がりが今ひとつで、壁紙の「柄」も殆ど目立たない。。
これならば、北欧の柄物カーテンにしても何ら問題無かったと、未だに心残りである。




2003年6月26日木曜日

賽が投げられるまで

ふいに舞い込んだ、転属の話し。オファーであるが故に、こちらにも断るという選択権があってややこしい。いっそ、有無を言わさぬ命令であれば、いろいろ楽なのかもしれないと、ちらっと考えた。

「とにかく、先方と話しをするだけしてみたら。自分の目で確かめた方がいいよ」と諭して、水面化で夫は転属の下調べを始めた。

同 じサラリーマンとして、仕事の内容には納得してもらいたいと思う。これが、同じ勤務地内での話しなら、「納得しないならやめちまえ」と言えるのだが、勤務 地が変わるとなれば、話しは別である。本音を言ってしまえば「多少難ありでも家族の為に我慢してくれ」という気持ちもある(決して夫には言わないが)

正式に転属の話しを受けるまで、夫の気持ちは揺れに揺れた。

入社以来ずっと同じ仲間と仕事をし、ある意味では居心地の良い職場なのだろう、私も慣れた職場を捨てられないで、今に至っているのだから、人の事は言えない。
時には激しく、時にはお互いを理解する調子で、よくよく話し合った。

そんな中でふと、女性の方が男性より沢山、切羽詰まった決断をしているのだと気が付いた。夫には言っていないが、私から見れば、「こんな事で悩むなんて甘い!」と思えてしまうのである。

結 婚しようと決意した時、職場の人からは辞めずに通勤すると宣言して驚かれ、第一子を妊娠しても必ず戻って来ると宣言して驚かれ、もうこのまま辞めたいなぁ と思う衝動を必死にこらえて、職場復帰してまた驚かれ、、、そんな局面局面を乗り越えて来たのを思えば、「私だって同じくらい、決断して乗り越えて来たん だぞ」と、思わずにはいられなかった。

あまりストレートに言ってしまうと、相手の行き場を無くしてしまうから、そこはぐっとこらえているが、心の中では
「逆転現象だな」と感じている。いくら口では「理解している」と言っても、実際に今までは夫の方がお気楽で、今度は私がお気楽になる番らしい。

ただ、あまりそればかりでは、フェアじゃないし、ここで一つ打開案が必要だろうと感じて、私としては珍しい一世一代の交換条件を出した。

もし、夫が転属に同意してくれるなら、私は今の部署で目指せるだけ上を目指すと。。。。

昇進にはそんなに関心が無かったし、自分には関係ないとも思っていた。
育休を2度も取っているし、残業は出来ないし、単純に考えれば、そう簡単にキャリアアップはしないだろうとも思っている。
であるが、結果として、今回の転属を受け入れれば、夫が私のキャリアに合わせてくれた事になる。そおいう犠牲を払った以上は、私も何らかの誠意を見せた方が良いと思ったのだ。

この条件提示で、夫の態度はかなり変わった。
元 々、「奥さんは仕事が出来る人なんだ」と自慢したい変な願望の持ち主で、よく「頑張って昇進しろ」とハッパをかけられていた。髪結いの亭主的素質があるら しく、奥さんに稼いでもらって自分は、ぶらぶら、、、というのが夢らしい。(最も、夢だけで勤勉に毎日働いているが)この、ニンジンが一番効いたのか、数 日後、夫は「転勤の意志があります」と正式に先方に返事を返した。

と、こう書くと、転勤の事だけを考えていたように見えるが私が育休中だったのが、良かったのか悪かったのか。。。妻はどんどん、想像の羽根を広げ、どんどん情報集めをし「転勤が決まったらこんな生活」とういう青写真を着々と描いてしまったのである。

夫が気付いた時には、すっかり外堀を埋められ、結局「うん」と言わざる終えない状況だった。

2003年6月25日水曜日

1本の電話

二人目育休も、はや6ヶ月。やっぱり二人目は何かと楽だなぁと思いつつ出来るだけこの時間を有意義に使わなきゃと、以前からやりたかった事にいそいそといそしむ毎日。
おかげで、シフォンケーキを焼く腕は上げたし、やっぱり、気に入らないマンションの台所をこの機会にリフォームしようと思い立ち、業者に見積もり依頼。それも出揃って、ほぼ予算内の希望通り。そろそろ、正式発注しましょうかね。と思っていた矢先。。。
滅多に電話をかけてこない夫が、昼の2時に電話を入れて来た。風邪気味だった7ヶ月の息子の様子を聞いた後、「実はさ。。」と切り出して来た話しが、昔上司だった人から、自分の部署に来ないかという、転属のオファーがあった事だった。

「え〜〜!」青天の霹靂。

プ ロフィールを読んで頂くと判るのだが、私達夫婦は数年の遠距離恋愛の末、夫の勤務地の近くに新居を構え、私は新幹線で都内まで通勤するという生活をずっと 続けている。結婚して5年半、その間に二人の子を出産して今が2度目の育休だが、それ以外の期間は新幹線で通い続けていた事になる。

今回のオファーの勤務地先は私と同じ。

すぐに頭をよぎったのは「あ〜、これで片道2時間の通勤から解放される!」待て待て、舞い上がるなぁ〜、話しはコケるかもしれないのだ、とブレーキをかけようと思っても、やっぱり止まらない。

「よく出来るねぇ」「頑張るねぇ」そお言われつつも、じっと我慢で仕事を続けて来たのは、心の何処かで「いつか、転勤で都内に戻るかもしれない」という淡い期待があったからだ。
夫 は、元々都内の採用で私と同じ会社の同期入社。付き合い始めたのかなぁ〜、という曖昧な時期に部署ごと今の地域に転勤してしまった。遠距離を理由にそれっ きりになってしまうかどうか、そんな感じだったけど、結局、お互いに結婚しようという事になって、私は後から移り住んだ事になる。

結婚後の 転勤では無いから、気持ちは前向きで新しい土地でもそれなりに馴染んで楽しく暮らしている。物価は安いし、特に家賃が安い。子供二人もこの地で産んでアッ トホームな保育園には随分と助けられた。仕事を辞めて、完全に引っ込んでしまうという選択もあったけど、夫がそれには何よりも反対した。
反対するからには手伝いなさいよね!とばかりに、出来るだけ育児参加をさせ、そのおかげで今日まで何とかやって来られたのだと思う。

でも、気持ちの何処かでは、長距離通勤を負担に思っていたし、体に疲労が溜まるのも実感していた。二人目妊娠中は特に辛くて、本当はもう一人欲しいと思っていても、現状の生活では体力的に無理だとも思っていた。

まさに、渡りに舟のタイミングである

た だ、今回の転属先では、夫の職業区分がエンジニアでは無くなってしまう。もちろん、エンジニアとしての知識を買われて、開発と対等に話しが出来る企画ス タッフが欲しいという話しだから、今までのキャリアが全く無になってしまうのでは無いのだが、夫には非常にストレスがかかって来る。
とは言え「この生活をずっと続けるのは無理だよ、どちらかが、どちらかに合わせる時がきっと来るね」と常々話していた。

私 の方が、今までの専門職のキャリアを捨てて、夫と同じ事業所に転属願いを出すか、そお考えた事も何度かあったが、産休育休で仕事にブランクを空けるという ハンディを考えると、簡単に職場を変わる気持ちは、なかなか起きなかった。初めての事は1つで沢山だと思ったのである。

夫と私の根比べで私の勝ちという所か???

今まで、私に負担をかけて来たという負い目がある分、夫も「今回の話しを見送りたい。もうちょっと新幹線で通勤してくれ」とも言い出せず、また、長女は4歳で小学校入学まで1年と少ししかない。教育の事、これから先の事。もろもろを考えると、どうやら決断の時らしい。

こんな背景から、私達の「家を建てるか」ストーリーが始まる。自分達で時期を決めたというより、潮の流れや風向きで自ずと期限が決められてしまった感じだ。